関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第42回関東甲信越ブロック理学療法士学会
会議情報

一般演題
胸髄不全損傷
~早期から積極的な起立練習,歩行練習を実施した一例~
内嶋 佑太芳賀 傑
著者情報
キーワード: 胸髄不全損傷, TS-MYO, KAFO
会議録・要旨集 フリー

p. O-037-

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抄録
【目的】 胸髄不全損傷により両下肢の不全麻痺や感覚障害を呈した患者に 早期から起立練習,歩行練習を行った.その結果,筋力低下や感覚 障害,基本動作能力の改善,歩行時における筋電計(トランクソ リューション株式会社製,以下TS-MYO)の波形の変化が認められた ため報告する. 【方法】 今回の患者(70代,女性)は胸髄不全損傷と診断され,脊椎固定術 を施行した.術後に左下肢優位に麻痺症状を呈し,Th7から下位の 感覚障害や左右下肢の筋力低下が出現した.その患者に対し離床 早期からティルトテーブル,長下肢装具(以下KAFO)を使用した 起立,立位練習,KAFOを使用した歩行練習を行った. 起立練習, 歩行練習の際にはTS-MYOを使用して左側の大殿筋,大腿四頭筋 の筋活動を計測した. 筋力低下,感覚障害の評価にはASIA,ADL 評価にはFIM を用いた. 【結果】 初回評価ではASIA の触覚スコアが96点,運動スコアが70点で あった.最終評価では触覚スコアが111点,運動スコアが77点と 改善がみられた.初回評価では基本動作重介助レベル,FIM は54 点であった.最終評価では基本動作が見守りまたは軽介助レベル, FIMは87点と大きく改善がみられた.また,歩行練習では大殿筋, 大腿四頭筋の立脚期での筋収縮をタイミング良く得られたことが TS-MYO を使用して確認できた. 【考察】 住田らによると脊髄損傷患者に対する急性期からの早期リハビリ テーションは機能障害に対するADL 発揮効果をより高く改善する ことが示唆されている. 起立練習,歩行練習を離床早期から積極 的に行った事で歩行時の殿筋,大腿四頭筋が賦活され,歩行練習 時に筋収縮をタイミングよく促すことができた.その結果,ADL 能力の改善に影響したのではないかと考える. 【倫理的配慮,説明と同意】 ヘルシンキ宣言に沿って,個人情報に配慮し,患者情報を診療記録 から抽出した.症例本人に対し,本学会にて症例報告を行うこと について同意を得た.
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© 2023 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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