関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第42回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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一般演題
出産後6か月,胆道閉鎖症に対し生体肝移植術が施行されたサルコペニア合併若年女性への理学療法経験
松永 和湖濵田 桂佑田熊 雅史大澤 かおる南雲 光則
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p. P-039-

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抄録
【はじめに】 生体肝移植術(Living Donor Liver Transplantation:LDLT) 患者において,全身骨格筋量減少が術後生命予後に影響すること が知られているが,LDLT周術期の筋肉量の変化や臨床経過に及ぼ す影響,若年女性に対するリハビリテーション介入時の注意点な ど不明な点が多い.今回,出産後6か月でLDLTに至ったサルコペ ニア合併若年女性に対し周術期理学療法介入を経験したため,報告 する. 【症例紹介】 本症例は第一子出産後より胆管炎を繰り返し胆道閉鎖症と診断さ れた20歳台女性である.肝障害重症度MELD score7点,ChildPugh分類Aの代償性肝硬変と診断され,出産後6ヶ月にLDLT施行 された. 【経過】 術前身体機能評価は,徒手筋力テスト(MMT)は上下肢5,握力は 右16.5kg,左16.8kg, 膝伸展筋力(Micro Fet使用)は右2.0 kgf/kg,左2.0kgf/kg,6分間歩行試験(6MWD)は490m,骨格 筋指数(SMI)は5.6kg/m2,位相角は4.9°であった(Inbody®S10 使用).術前から身体機能評価及び呼吸・排痰方法指導,運動指導 を行い,術後は安静度指示に合わせ術翌日よりICUにて理学療法 介入開始.術後7日目に初回離床を開始,点滴架台利用し歩行可能 であった.術後9日目に横行結腸穿孔発症,人工肛門造設術施行 され再度ICU入室.理学療法介入継続し術後14日目に再度点滴架 台歩行が可能となる.術後22日目に歩行とADL自立し,術後42 日目に自宅退院した.退院時,MMT上下肢5,握力は右13.8kg, 左12.0kg,膝伸展筋力は右1.0kgf/kg,左1.1kgf/kg,6MWD は362m,SMIは5.0kg/m2,位相角は4.7°であった. 【考察】 本症例は術前同様のADL獲得に至り自宅退院したが,周術期には 適切な離床サポートを,また,移植前よりも身体機能が低下して いたことから退院後の運動指導やADLに関する動作指導など本症 例の生活を想定した理学療法が必要であった.術前より理学療法 介入しサルコペニアの有無を含め身体機能評価を行ったこと,なら びに退院後の生活を想定した指導など理学療法介入の意義は大き かったと思われる. 【倫理的配慮,説明と同意】 本研究はヘルシンキ宣言に基づき,対象患者に症例報告の趣旨を 説明し,書面上にて同意を得た.
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© 2023 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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