関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第43回関東甲信越ブロック理学療法士学会 ・ 第30回千葉県理学療法学術大会 合同大会
セッションID: P7-1-3
会議情報

一般演題
当院回復期病棟における発症から長下肢装具作製までの期間がFIM利得に与える影響
*松元 涼悟横島 もも石川 茂幸小牧 俊也松本 恭徳諸冨 伸夫
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キーワード: 脳卒中, 長下肢装具, FIM
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抄録
【はじめに,目的】 脳卒中治療ガイドライン2021において, 長下肢装具( 以下, KAFO)を用いた早期からの立位・歩行練習は強く推奨されている. 重度脳卒中片麻痺患者において,KAFOを用いた歩行練習は有効 であり,本人用の治療用装具の作製が望ましいとされている.一 方で脳卒中発症からKAFO作製までの期間がFIM運動項目の利得 に与える影響については散見される程度である.本研究は,脳卒 中発症からKAFOの作製期間がFIM運動項目の利得に与える影響 について再検証した. 【方法】 対象は,2020年4月1日から2023年3月31日までに当院回復期リ ハビリテーション病棟(以下,回復期)に入院しKAFOを作製した 脳卒中片麻痺患者15名(平均年齢59.9±10.7歳,脳出血12名,脳 梗塞3名)とした.KAFOの作製時期が脳卒中発症から30日以内 の患者7名(男性5名,女性2名)と30日以降の患者8名(男性3名, 女性5名)の2群間に分け,後方視的にデータ抽出を行い回復期で の入棟時と退院時のFIM運動項目の利得の比較検討を行った.統 計解析にはEZRを使用し,Mann-WhitneyのU検定で2群間の比 較を行った.有意水準はいずれも5%未満とした. 【倫理的配慮,説明と同意】 本研究ではヘルシンキ宣言に基づいて,個人情報が特定できない ように十分に配慮した. 【結果】 KAFOの作製時期がFIM運動項目の利得に与える効果の比較検討 において,KAFOの作製時期が発症から30日以内の群は中央値 41.0点(32.5点-52.5点)の改善であり,30日以降の群は中央値 37.5点(21.5点-46.7点)の改善であり,有意差は認められなかっ た(P>0.05). 【考察】 本研究では,脳卒中発症からKAFOの作製期間がFIM運動項目の 利得に与える効果について有意差は認められなかった.FIM運動 項目の利得が低値であった症例は,注意障害や遂行機能障害,記 憶障害等の高次脳機能障害を合併している傾向があった.また, 高次脳機能障害を合併していない,あるいは改善した症例では KAFOの作製が30日以内,30日以降に限らずFIM運動項目の利 得は高値である傾向があった.当院ではリハビリテーション科医 師,義肢装具士,理学療法士で週1回装具診察を行っている.今 後は,多職種で総合的な判断を行い,作製を検討する必要がある と考えられる.
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