関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第43回関東甲信越ブロック理学療法士学会 ・ 第30回千葉県理学療法学術大会 合同大会
セッションID: P8-6-5
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一般演題
橋傍正中動脈の分枝粥腫型梗塞を合併したパーキンソン病患者に対して,予後予測に難渋した1症例
*山村 知宙千葉 弘樹林 優滋
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抄録
【はじめに,目的】 橋正中動脈(PPA)の分枝粥腫型梗塞(BAD)の麻痺所見では軽度 のものが多く,予後良好とされている.また,パーキンソン病(PD) の移動能力を低下させる要因として,脳卒中の合併が報告されて いる.しかし,脳卒中を合併したPD患者に関する報告は少ない. 今回,PPAのBADを合併したPD患者の目標設定に難渋した1症例 を報告する. 【症例紹介,評価,リーズニング】 80代男性.既往歴にPD(Hoeh &YahrⅢ.生活機能障害度Ⅱ度) あり.要介護1,訪問介護,デイサービスなどを利用し,家庭内 ADL修正自立.X月Y日夕食の準備をしようとしたところ左下肢に 脱力感あり転倒.画像所見にて右橋底部のBADの診断にて入院. 本人のHOPEは自宅退院. 初期評価にて意識清明,Brunnstrom Recovery stage(BRS) 上肢Ⅱ, 手指Ⅲ, 下肢Ⅲ. 感覚障害はなし.Modified NIH Stroke Scale(NIHSS)10点.Trunk Control Test(TCT)0点. modifid Ashworth Scale(mAS)2~3.基本動作は重~全介助 レベル.Barthel Index(BI)0点. 本症例はNIHSS:10点と脳卒中では軽~中等症だが,PDに伴う 筋強剛や筋力低下,動作緩慢により,TCT:0点,基本動作では 重~全介助レベルとなっており,ADLの自立には困難を伴うと予 測した.発症3週後家族面談実施.軽微な麻痺の改善はみられ, TCTは24点となったが,基本動作の介助量は重介助レベルと変化 なく,施設を探す方針となった. 【倫理的配慮,説明と同意】 ヘルシンキ宣言に基づき,対象者には十分に説明した上で,自由 意思による同意を得た. 【介入内容と結果】 移乗動作の介助量軽減を目標に,起立・立位保持練習から開始. 13病日,本人の要望もあり,長下肢装具を用いた立位・歩行練習 開始.状態に応じ,徐々にカットダウンしていき,装具非着用で の歩行練習まで実施.51病日,BRS上肢Ⅳ,手指Ⅵ,下肢Ⅳ. TCT:61点.mAS:1+~ 2.基本動作は軽介助レベルまで介助 量軽減し, BIでは55点まで上昇.訓練レベルでは体幹前傾,小刻 み歩行ではあるが,軽介助にて補助具なし20m,手すり把持にて 40mの歩行獲得. 介護老人保健施設へと退院となった. 【考察】 発症後3週の時点で麻痺の改善に比して,基本動作の介助量軽減 が認められず,施設退院方向となった.しかし,介入に伴い,発 症から約2か月で手すり把持にて40m歩行可能となった.介護老 人保健施設へと退院したが,本人のHOPEや回復過程を統合する と回復期転院も検討の余地があったと考える.
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© 2024 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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