関東甲信越ブロック理学療法士学会
Online ISSN : 2187-123X
Print ISSN : 0916-9946
ISSN-L : 0916-9946
第43回関東甲信越ブロック理学療法士学会 ・ 第30回千葉県理学療法学術大会 合同大会
セッションID: O2-1
会議情報

一般演題
腰部脊柱管狭窄症患者における術後2週時の痛み・しびれは術後1年時の健康関連QOL・身体活動量と関連するか
*樋口 大輔贄田 高弘藤井 菖
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【はじめに,目的】 腰部脊柱管狭窄症(LSS)の周術期の理学療法において痛み・しび れは重要な帰結指標である.その痛みやしびれが退院後の予後と も関連するかどうかについては不明である.そこで,本研究の目的 を,腰部脊柱管狭窄症患者における術後2週時の痛み・しびれが 術後1年時の健康関連QOL(HRQOL)および身体活動量(PA)と関 連するかどうか,関連しないとすればどんな指標が関連するかに ついて明らかにすることとした. 【方法】 LSSに対する手術を受けた65歳以上の人のうち,少なくとも術後 21日まで入院していた人,術後1年時のHRQOLおよびPAの調査・ 測定ができた人を対象とした.術後1年までにLSSあるいは別の疾 患の治療を新たに受けた人は除外した.術後2週時に①腰痛,下 肢痛・しびれのそれぞれの強度(NRS),②主観的な歩行とセルフ ケアの自立度ならびに不安の程度,③痛みの破局化(PCS),④軽 度なPA(LPA)と中等度以上のPA(MVPA)を調査・測定した.術 後1年時には,HRQOL(SF-12)とMVPAを調査・測定した.PA の測定には活動量計(HJA-750C)を用いた.術後1年時のSF-12 の下位項目およびMVPAと単相関関係にあった術後2週時の調査 項目と年齢・性別を独立変数とした重回帰分析(ステップワイズ法) を行った. 【倫理的配慮,説明と同意】 本研究はヘルシンキ宣言に従った.本研究の実施に先立ち,研究 実施施設の倫理審査委員会の承認を得た.また,研究対象者に は研究の概要を書面および口頭にて十分に説明し,研究参加の同 意を記名にて得た. 【結果】 48人(73.0±4.7歳,男性25人[52.1%])が研究対象となった. SF-12の下位項目およびMVPAのいずれとも腰痛,下肢痛・しび れのNRSは有意な関連を示さなかった.SF-12の下位項目と有意 な関連を示した指標は,セルフケア(身体機能,日常役割機能(身 体),体の痛み,社会生活機能,日常役割機能(精神)),不安(活 力,社会生活機能,メンタルヘルス),PCS(日常役割機能(身体), 体の痛み,全体的健康感,日常役割機能(精神))の3つであった. MVPAと有意な関連を示した指標はLPAと年齢であった. 【考察】 痛み・しびれの程度は周術期における重要な帰結指標ではあるも のの,退院後の生活を見越した術後理学療法を計画するための指 標にはならないことが示唆された.セルフケアの自立度や心理状 態,痛みの破局化,院内での活動性の観点から多面的に心身を 評価する必要性があるだろう.
著者関連情報
© 2024 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
前の記事 次の記事
feedback
Top