2012 年 2 巻 1 号 p. 1-5
脊髄硬膜外血腫は圧迫部位の後根が圧迫されて神経痛様の疼痛が生じ,ついで脊髄自体の症状として対麻痺または四肢麻痺が出現すると言われており,現在までに若年者の報告は少ない.本症例は,特発性胸髄硬膜外血腫により術後両下肢に対麻痺と脊髄性運動失調を呈し,走行可能となった20 歳男性の症例である.深部感覚が重度鈍麻していたことから,視覚・聴覚・体性感覚によるフィードバックを考慮し,ステップ練習,走行練習を反復して行った.結果,本症例は術後4 ヶ月後に走行のリズムを全身で再学習でき,走行時に足がもつれなくなった.そこで,理学療法の経過と介入方法を報告する.