2023 年 1 巻 1 号 p. 4-10
【目的】大腿骨転子部骨折例における歩行能力に影響を与える要因は,骨折型によって異なるのか否かを明らかにすることとする。
【方法】対象は大腿骨転子部骨折例95例とし,骨折型によって安定型47例,不安定型48例に分類した。調査項目は年齢,性別,受傷前の自立度,認知症高齢者の自立度,骨折型,術式とした。また術後4週における疼痛,脚長差,関節可動域,筋力,杖歩行の可否を調査した。骨折型別に,従属変数を杖歩行の可否,その他調査項目を独立変数として二項ロジスティック回帰分析を実施した。
【結果】ロジスティック回帰分析の結果,杖歩行の可否に影響を与える要因として,安定型骨折では受傷前の自立度と術側膝伸展筋力が,不安定型骨折では術側股外転筋力が抽出された。
【結論】骨折型によって杖歩行の可否に影響を与える要因は異なり,安定型では術側膝伸展筋力の向上を,不安定型では術側股外転筋力の向上を図ることが重要と考えられる。