2024 年 2 巻 1 号 p. 8-16
【目的】 心臓手術前のサルコペニアリスク評価と術後歩行自立の関連を明らかにすること。
【方法】 対象は待機的心臓手術を施行された37例とした。調査項目は術前の患者背景,術前・退院時の理学療法評価,手術・周術期情報,術後リハビリテーション経過とした。統計解析は,Kaplan-Meier生存曲線分析で有意差を認めたサルコペニアリスク評価と術後歩行自立の関連をCox比例ハザード分析で検討した。
【結果】 Kaplan-Meier生存曲線分析では,各サルコペニアリスク評価の中で,術前の5回椅子立ち上がりテストで有意差を認めた。術後歩行自立の有無を従属変数としたCox比例ハザード分析の結果,術前の5回椅子立ち上がりテストが独立した関連因子として抽出された。
【結論】 各サルコペニアリスク評価の中で,術前の5回椅子立ち上がりテストが術後歩行自立日の独立した関連因子であることが明らかとなった。本研究の結果より,術後経過の予測やPrehabilitationの適応判定に有用である可能性が示唆された。