2017 年 17 巻 p. 83-95
政策評価と行政管理はどのような関係にあるのか。そもそも政策評価は現実の行政活動を管理しうるツールたりえているのか。日本においては,評価制度の導入から20年の時間が経過した。しかし,上記の問いに対する公共政策学からの解答は不鮮明である。
上記の問いは,「学」と「実務」の交錯を掲げる公共政策学にとっても,またその一分野を構成するはずの政策評価論にとっても拒否できるものではない。政策評価制度は,実務主導で設計・導入され,実務の現場で提起される諸課題に対処し,実務上の実用的道具として洗練されてきた。この間,公共政策学はどれほどの建設的な議論を提供してきたといえるのだろうか。
本稿では,上記の論点について,「プログラム」の観念がその鍵であることおよび政策評価論においてこの観念が議論されてきたことを指摘する。本稿の結論においては公共政策学と実務とをつなぐ媒介項としての「プログラム」の観念と,これを重視してきたという意味において,政策評価論の意義を強調する。