抄録
【目的】
本研究の目的は,糖尿病予防に関する国内外の既存の文献からポピュレーションアプローチの事例を分析し,ポピュレーションアプローチの目的,方法,結果について明らかにすることである。
【方法】
文献データベースとして,医中誌Web,PubMed,CINAHLを用い,キーワードとして「ポピュレーションアプローチ」「糖尿病」を設定し,会議録を除いて検索を実施した。文献から抽出された事例を,マトリックス方式を用いて,ポピュレーションアプローチの「目的」「戦略・介入方法」「評価指標」「結果」を列トピックスとし,文献内容を分析した。
【結果】
検索された44文献のうち,分析対象となったのは7文献となり,分析事例は6件であった。国内・国外ともに多くの事例は行政機関が主体で,住民を対象に実施されていた。ポピュレーションアプローチの方法は,地域のシステム作りから具体的な住民への介入プログラム実施まで含まれていた。介入内容は,広報誌や冊子での糖尿病に関する知識の普及,糖尿病教室や健康イベントの開催などが多く含まれていた。評価方法は,住民への意識調査,行動変容ステージ,生活習慣の変化など質問紙で評価する方法と健康診査の受診状況,検査値など数値で評価する方法などが併用されており,住民の行動変容,生活習慣の改善,体重,空腹時血糖,HbA1c値など数値での改善効果が明らかとなっていた。
【結論】
糖尿病予防に関連した国内外のポピュレーションアプローチの事例を分析した結果,地域を巻き込む形で効果の継続が期待できるようなアプローチでは,住民の行動変容,生活習慣,体重,空腹時血糖,HbA1c値などで改善効果が認められた。しかし,抽出された先行事例は少なく,詳細な介入方法や評価方法,効果を分析するための情報は十分とは言えなかった。
今後は,ICTの活用やビッグデータに基づいたポピュレーションアプローチの有効性の検討が求められる。