1983 年 52 巻 4 号 p. 348-357
欠陥を含む溶接構造の信頼性を確率論的アプローチによって評価する手法を述べ,溶接継手の信頼度の計算手順と計算に必要な情報を示し,その計算例を挙げている.この種の確率論的アプローチによって,(1)同種の構造物・機器の溶接部の品質を相対的に評価することが可能となる.(2)非破壊検査の合否判定基準を非破壊試験の欠陥検出能力に応じて適正に決定することが出来て,これによって過剰品質を避けることが出来る.(3)破壊力学に基ずく溶接欠陥の限界評価と材料の破壊靱性および非破壊試験の欠陥検出能力の情報を総合すれば,適正品質の溶接部の得る為に何を為すべきかが明らかになる.など,従来やや不明確であったいくつかの問題を合理的に解決することが出来る.