抄録
山田・狩野は,化学工業,治金工業,製鉄業などのプロセス産業において,品質特性の各々について制約が与えられている場合に,この制約を満たし,目的関数を好ましいレベルにする最適操業条件を設定する方法を提案した。この方法で最適操業条件が求められるかどうかは,品質特性と要因変数の関係における母数の推定値等から決まるので確率事象となる。そこで本研究では,この方法の性能評価という点から,最適操業条件を求められる確率を導きだした。これには,品質特性が制約を満たす操業条件の領域の近似と数理計画の分野で論じられているKuhn-Tucker条件を応用した。さらに,この近似を応用すると,最適操業条件の近似計算が出来ることを示した。