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不具合に関する設計知識の運用に関する研究 -不具合に至る因果連鎖の知識構造の構築
田村 泰彦飯塚 悦功
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2002 年 32 巻 1 号 p. 122-135

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抄録

設計の不備による不具合が慢性的に発生している.不具合の発生メカニズムは製品の個々の構成品目に与えられた特性, 属性および構成品目同士の機能, 構造のつながりを考慮して起こり得る不具合の因果連鎖の予測的解析を徹底的に実施し, 設計仕様の問題点を顕在化できていれば, 十分に未然防止できていたはずのものが多い.不具合の因果連鎖の予測的解析を効果的に行うためには, 過去の設計不具合から再利用な知識を獲得し, 徹底的に活用することが重要である.本論文では, 不具合の因果連鎖の経験から設計の問題点を顕わにし, 設計の質向上を支援する知識の獲得方法として不具合に関する因果連鎖の知識構造を提案する.知識構造の提案までに, 以下の内容が具体的に議論される.
 (1)組織が保有する不具合の因果連鎖の知識がもつ問題点と設計知識として必要な要件
 (2)因果連鎖の知識の基本的なとらえ方
 (3)因果メカニズム単位として精緻化されたストレス-ストレングスモデル
 (4)因果連鎖の接続に関する様式
 (5)因果連鎖における因果関係のとらえ方
 また, 本研究では実際の機械組立設計の現場において提案内容に基づいて知識の獲得を行い, 提案内容の有効性を検証した.

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© 2002 一般社団法人 日本品質管理学会
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