抄録
日本では2000年4月より公的介護保険制度がスタートした.この保険制度がスタートして8年あまりが経過した現在,介護の質が問われている.介護を提供するための具体的計画をケアプランといい,ケアマネジャーによって作成されている.介護の質を保証するためには,ケアプランを策定するための妥当な方法論の確立が不可欠である.これまでのところ,対象者の状態からADLに関する必要なケアを導出するためのモデルとして,「ADLに関するケア決定プロセスモデル」が提案されており,モデル設計の妥当性が示されている.このモデルは,対象者の状態から妥当なケアを決定するための「ケア決定手順」と,ケア決定手順の実行に必要となる情報の形式,関係性を整理した「知識データベースの構造」から構成される.しかしながら,このモデルを効果的に活用するためには,知識データベースの具体的な知識コンテンツを構築することが必要である.本研究では,まず知識コンテンツが備えているべき性質から,知識コンテンツ構築の際に留意すべき考慮事項を整理した.次に,考慮事項に基づいて介護現場に固有の専門知識を構造化することにより,ケア決定プロセスに必要な知識コンテンツを構築した.さらに,構築した知識コンテンツをモデルに実装して実際のケースに適用することで,提案内容の妥当性を検証した.