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Print ISSN : 0386-8230
調査研究論文
新商品開発における情報共有とその効果・要因に関する調査研究
沖田 武嗣中條 武志
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ジャーナル 認証あり

2014 年 44 巻 3 号 p. 329-340

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抄録

新商品開発については,これまでも,市場調査・企画,設計・研究開発,販売・サービスなどの視点から成功要因や各種手法の有効性に関する多くの研究が行われてきた.しかし,いかに個々の要素がうまくできていても,その相互の連携が悪ければ良い結果が得られない.本研究では,部門間連携のうちでも特に重要な情報共有に焦点を絞り,多くの企業への郵送調査を行って,新商品開発における情報共有と成果の関係,情報共有と新商品開発のための組織・プロセスおよび全社的な品質管理活動の関係を明らかにした.結果として,部門を跨る情報の共有の度合いが成果に大きく関係すること,特に,(1)全社的な目標,(2)品質保証および改善活動に関するノウハウ,(3)過去の失敗に関するノウハウ,(4)商品の全体像,品質目標および開発計画・スケジュールに関する情報,(5)開発する商品の設計に関する情報,(6)生産・提供プロセスに関する情報,(7)顧客および販売の方法に関する情報,(8)ネック技術およびに開発中に発生した問題に関する情報の共有度合いは成果と密接な関係があるため,これらの情報の共有を積極的に進めるのがよいことがわかった.また,これらの情報の共有を促進するには,新商品開発のための組織・プロセスの総合的なレベル,特に,新商品開発プロセスの一貫性を高めること,さらには,全社的な品質管理活動のレベルをあげるのがよいことがわかった.

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© 2014 一般社団法人 日本品質管理学会
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