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中間特性を用いた場合の総合効果の推定精度について
黒木 学林 崇弘
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2014 年 44 巻 4 号 p. 429-440

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抄録

本論文では,観測データが線形構造方程式モデルにしたがって生成されているとき,中間特性を用いて処理変量から品質特性への総合効果を推測する問題を考える.処理変量から品質特性への直接効果がなく,かつ中間特性が一つの場合,Cox(1960)は逐次的回帰モデルを用いて総合効果を推定したほうが,単一の回帰モデルを用いた場合よりも漸近的な意味で推定精度が高いことを示している.しかし,実際の品質管理の現場では,処理変量が単一の中間特性を経由してのみ品質特性に影響を与える状況は少ない.そこで,本論文では,複数の中間特性を含んだ補助特性の集合を用いた場合の総合効果の推定精度について考察し,単一の回帰モデルを用いた場合よりも逐次的回帰モデルを用いて総合効果を推定したほうが推定精度が高いことを示す.また,総合効果の推定精度の観点から補助特性の選択指針を与える.さらに,数値実験とIC製造工程の分析事例をとおして,本論文で与えた結果の有用性について検討する.

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© 2014 一般社団法人 日本品質管理学会
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