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クオリティレポート
「JIS Z 9090」が適用できない場合の校正周期最適化-ピンゲージの場合-
佐々木 市郎高 文靜王 喜鳳
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2016 年 46 巻 4 号 p. 421-426

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抄録
 計測器の校正周期を最適化する場合に拠り所となる規格として「JIS Z 9090:測定―校正方 式通則 附属書1 校正の間隔及び修正限界の定め方」がある.オンライン品質工学の「フィ ードバック制御」の考え方に基づいている.しかし,この規格は点検及び修正を行う場合の校 正方式を扱っており,例えば本稿で取り上げるピンゲージのようなゲージ類は対象外である.そこでピンゲージに適用できる方法として,同じくオンライン品質工学の手法である「診断・ 調節」の考え方を用い,その上で定量化したリスクを損失計算式中の不良損失のパラメータに 係数として反映する方法を提案する.それは,計測器が校正NGであっても,同時に被測定物がNGであるとは限らず,むしろ NGとなる確率は低いという考え方を基にしている.検討した結果,当社中国工場におけるピンゲージの校正周期を1年から3年に延長することができた.それは外部に支払う校正費用を 1/3に低減することができたことを意味する.
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© 2016 一般社団法人 日本品質管理学会
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