品質
Online ISSN : 2432-1044
Print ISSN : 0386-8230
報文
与薬事故におけるプロセス要因の特定方法の提案
蓮井 涼祐棟近 雅彦梶原 千里
著者情報
ジャーナル 認証あり

2019 年 49 巻 1 号 p. 82-94

詳細
抄録
 病院では,質の高い医療を提供するために,与薬事故低減に取り組んでいる.与薬事故の要因は様々であるが,プロセス要因に着目して要因を特定し,業務手順を改善することが有効である.現在,RCAやPOAMといった事故分析手法が提案されているが,それらの手法は要因の特定方法について詳細な手順を示していないため,事故分析に精通した一部の人以外は,プロセス要因を容易に特定できず,プロセスの改善につながっていない.
 本研究では,プロセスの改善に焦点を絞っているPOAMを取り上げ,従来の分析結果からプロセスに着目できない理由を明らかにし,それを解決するために与薬業務モデル,エラーモード一覧表,要因特定ツリーという3つのツールを開発する.そして,これらのツールを用いて系統的にプロセス要因を特定する方法を提案する.実際に,複数の病院の医療従事者に提案法を活用してもらい,その有効性も確認する.提案法により,多くの医療従事者がプロセス要因を特定して,プロセスの改善策を立案できるようになり,与薬事故の低減が可能となる.
著者関連情報
© 2019 一般社団法人 日本品質管理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top