2009 年 58 巻 3 号 p. 93-100
神津島,新島及び東伊豆単成火山群から噴出した流紋岩中の230Th/238U放射能強度比を観測したところ,伊豆弧の玄武岩質噴出物は230Th/238U<1の放射非平衡であるのに対して流紋岩の大部分は230Th/238U=1の放射平衡に収束していた。このことは,マグマ発生時に玄武岩では沈み込むプレートからの流体の関与が大きく,流紋岩ではそれが小さいことに起因していると推定された。また,(230Th/232Th)-(238U/232Th)放射能強度比の玄武岩と流紋岩が異なる一群を示すことから,伊豆弧の流紋岩は,伊豆弧の玄武岩と起源的な関連性は薄いと推定された。