2011 年 60 巻 3 号 p. 99-107
放射性ヨウ素廃水の新規処理方法として,陰イオン交換基を濾紙(ろ紙)膜内に均一に分散させた濾紙膜を用いた濃縮減容法について検討した。トリメチルヒドロキシプロピルアンモニウム基を導入した新規濾紙膜は,従来型陰イオン交換濾紙膜よりも約30%イオン交換容量を上げた濾紙膜を作成し,その電気化学的イオン透過特性及びイオン流束を測定し,非平衡熱力学に基づいて導入した導電性膜透過係数及び拡散性膜透過係数を用いて評価した。更に,実際の放射性廃水処理にて問題となる電気的中性物質のイオン透過への影響について検討した。その結果,新規濾紙膜は高い陰イオン選択性が実現され,また,その静電的効果により,放射性ヨウ素の選択透過性が実現された。