2013 年 62 巻 12 号 p. 927-938
私達は常に種々の原因で放射線を受けている。日本国民が受けている自然及び人工の線源からの被ばく線量は全体で国民1人あたり年間5.98mSvの実効線量と推定された。このうちの大部分を占めるのは,自然放射線の2.1mSv/年と医療被ばく線量の3.87mSv/年の二つである。日本と欧米諸国との国民線量の違いは,日本人のラドンの線量が比較的少ないこと,そして食物からの210Po摂取による体内被ばく線量の大きいことである。その原因は日本人の魚介類摂取量の多いことによっている。魚介類は210Po含有量が多い故である。