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肉類の貯蔵に関するポーラログラフ的研究 (第20報) 肉類の組成ならびに蛋白波に及ぼす低線量照射と低温貯蔵との相乗効果
小原 哲二郎小笠原 八十吉
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1963 年 12 巻 1 号 p. 27-44

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抄録

60×104r以下の低線量で60Coのγ線を照射した牛肉, 豚肉および鶏肉を, さらに5℃で4箇月間貯蔵し, その貯蔵過程におけるそれら肉類の組成ならびにポーラログラフ蛋白波に及ぼす低線量照射と低温貯蔵との相乗効果を比較検討した。
5℃貯蔵過程における照射肉類の臭, 色, Walkiewicz反応, pH, 水分量および蛋白量の変化は少なく, およそ20×104r以上照射のものでは, 貯蔵性が著しく高まった。
照射直後の肉類では, 照射の強まるにつれて, 乳酸および遊離アミノ酸量は増加していったが, 遊離クレアチン, クレアチニン量は反対に減少していった。
肉中の乳酸, クレアチン, クレアチニンおよびアミノ酸類の遊離量は, 5℃貯蔵の進むにつれて, おおむね増加していったが, ある程度の貯蔵日数以後は反対に減少傾向をとるものもあらわれた。
γ線照射直後および5℃貯蔵過程における照射肉類のポーラログラフ蛋白波の波形やcrossing pointには著しい変動は認められなかった。これは, 照射肉類中の蛋白質は5℃貯蔵によってほとんど変化していなかったことを示している。

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