1966 年 15 巻 4 号 p. 169-180
放射性鉄59Feが放射するγ線による残存強度法を用いて, 多結晶Fe-NiおよびFe-Co合金中Feの自己体拡散を750から1, 200℃の間で求めた。この間, α-γ変態, 磁気変態, 規則一不規則変態が含まれ, そこで拡散係数はArreniusの関係からはずれて異常変化をする。αからγに変態することによって, 体拡散係数は急減するがその程度はNi, Coという合金成分濃度の増加とともに少なくなる。Arreniusの関係式から求めたγ相における拡散の活性化エネルギーは合金成分濃度とともに変化し, Fe側から急減し, ゆるやかな極小を経てFe-50%CoおよびFe-75%Ni付近で極大を示している。体拡散測定後オートラジオグラフをとり, 顕微鏡組織との比較から粒界拡散, 表面拡散の様子が判明した。