RADIOISOTOPES
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全身オートラジオグラフィによる放射性化合物の生体内分布に関する研究 (第14報)
鎮咳薬3- (1-methyl) -1-piperididene-di- (2'-thienyl) -methaneのマウス生体内分布
佐久間 真理佐藤 善重
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1968 年 17 巻 9 号 p. 441-448

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抄録

中枢性非麻薬鎮咳薬, 3- (1-methyl) -piperididene-di- (2'-thienyl) -methane (AV) の生体内運命を知るため, 3Hおよび14C標識化合物を用いて, マウスにおける生体内分布を全身オートラジオグラフィによって検討した。薬物は腹腔内, 静脈内, 皮下および経口の4通りのルートで投与し, それぞれについて分布様式を調べた。全体として放射能活性の高い移行がみられたのは, 肝臓, 腎臓, 肺臓, 褐色脂肪, だ液腺, ハーダース腺, 胆のう, 消化管内, 膀胱であった。またこの薬物は, 静脈内投与時の初期には脳にも取り込まれ, 経口投与時においては消化管からもよく吸収された。体内における放射能活性のほとんどは, 投与後24時間以内に尿および糞中に排泄され, 異常な滞留はみられなかった。放射能活性は胎児中にもみとめられたが, 親の組織のそれよりはるかに軽度であった。

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