1970 年 19 巻 6 号 p. 276-281
がん親和性物質検索の一部として131I-albumin (131I-HSA) を吉田肉腫皮下移植ラットに静注し, 腫瘍および各臓器への分布状態を経時的に観察した。このとき一群にはラット1匹あたり131I-HSA 0.15mg, 他の一群には10mg投与した。同時に131I-HSAの吉田肉腫腹水細胞への取込みをも検索した。またこれと同じ方法で131I-fibrinogen (1匹あたり0.02mg投与) についても実験した。131I-HSA 0.15mg投与群と10mg投与群の体内分布状態はよく類似しており, 腫瘍に比較的よく取り込まれ, ある時間とどまったのち代謝された。131I-fibrinogenは腫瘍によく取り込まれ一度取り込まれたものはほとんど代謝されなかった。また131I-HSA, 131I-fibrinogenともに吉田肉腫腹水細胞にはほとんど取り込まれなかった。