1972 年 21 巻 2 号 p. 102-109
BAQ-509, AQL-208およびそのグルクロン酸抱合体の経口投与による生体内分布について全身オートラジオグラフィで検討した。
AQL-208のO-ジブチリル誘導体であるBAQ-509はAQL-208よりも速やかに消化管から吸収された。しかし両化合物の分布様式には本質的な違いはみられなかった。放射能の高い取込みが見られたのは, 肝, 腎, 胆のうおよび膀胱などであった。また, 血液や結合組織にも高く, かつ持続した放射能が見られた。しかし投与後24時間では, 放射能はほとんど見いだせなかった。BAQ-509の胎盤-胎子および血液-脳関門の通過はきわめて少なかった。
両化合物のおもなる代謝物であるAQL-208のグルクロナイドを経 [] 投与したとき, 消化管からの吸収はかなり少なく, また吸収されたものの大部分は, 胆汁を介して肝から腸管内へ排泄され, 吸収されたもののうち少量が腎を経て排泄されるのを認めた。