大阪市内に2個所, 堺市内に2個所定められた観測定点において採取した大気浮遊塵を機器放射化分析法によって元素分析し, 1970年3, 月より1971年3月に至る期間の種々の元素の月別の月間平均大気中濃度を決定した。試料採取法や分析法は前報とまったく同様である。年間を通じて8月に最低濃度, 11月ないし12月に最高濃度を示し, 6月の梅雨ごろに小さいピーク濃度を示すような元素が多かった。しかし, Zn, As, Se, Sb, Thなどは起伏の激しい濃度変化を示した。元素によってかなり顕著な地域差が認められた。Brの主要発生源は自動車排気ガスと考えられる。多元素についての情報が容易に得られる機器放射化分析法は大都市の大気汚染の実態把握にきわめて有効であると考えられる。