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液体シンチレーション測定のための溶解剤による試料調製法
前林 愛子樫田 義彦
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1974 年 23 巻 2 号 p. 88-96

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抄録

液体シンチレーション測定のため, 4級アミン水酸化物に属する, Hyamine X10, NCS, Soluene 100およびDigestinのような市販の溶解剤による生物材料の消化法が研究された。
6種の液体シンチレータ, PPO+POPOP-トルエン, ブチルPBD-トルエン, DavidsonのDAM 611, Butlerのカクテル, INSTA GELおよびTriton X100トルエンの生物試料ぬきの溶解剤に対する着色や化学ルミネスセンスを調べた。実験により, 3種の液体シンチレータ (ブチルPBDトルエン, 2種のエーテル系) はその強い着色のために次の試験から除外された。
生物材料, 鶏の生および乾燥組織, ラットの肝, 腎, 脾, 血漿および血液の溶解度を比較し, 溶解の速度対試料量を測定した。各溶解剤の1mlあたりの試料の最大溶解量はおのおの湿潤例で200mg, 乾燥例で100mgである。
シンチレータと強アミン塩基に溶解した生物試料との間の相互作用に基づく化学ルミネスセンスが観察された。そしてその現象はトルエンシンチレータに対しごく微量の氷酢酸, エマルジョンシンチレータに対し0.5N塩酸添加による中和によって減衰する。30%の過酸化水素による血液や脾の脱色処理ものべている。消化とトリチウム測定効率の観点より, トルエンに溶解した溶解剤 (SolueneとNCS) はメタノールに溶解したもの (HyamineとDigestin) よりすぐれていると結論される。

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