1974 年 23 巻 3 号 p. 173-178
197Hg-クロルメロドリンによる腎シンチグラフィについて, 基礎的, 臨床的検討を行なった。ファントム実験を行ない, 197HgのX線エネルギーが低いことがシンチグラムに及ぼす影響について203Hgと比較した。吸収層が5cmまでは両者にほとんど変わりがなく, 10cmではわずかに散乱の影響が認められた。吸収による計数率の減少の程度は5cmまではほとんど変わらず, 10cmでは203Hgの55±5%にくらべ, 197Hgは30±5%に減少した。
臨床例21例について197Hg-クロルメロドリンによる腎シンチグラフィを行なった。臨床的には, 従来から用いてきた203Hg-クロルメロドリンとほとんど変わらない像を得ることができた。腎の被曝線量を軽減させるためにも, 広く用いられるべきであることを強調した。