1979 年 28 巻 2 号 p. 84-88
99mTc-グルコネートについて, ラットを用いた体内分布およびマクロオートラジオグラム法による腎内分布を検討し, 腎スキャニング剤としての有用性について検討した。1) 腎の絶対的集積率が高いのみならず, 腎周囲臓器あるいは組織の集積率が低いため, 腎スキャニング剤として優れている。2) マクロオートラジオグラム所見より, 尿に迅速に排泄されるcomponentと腎に長く停滞するcomponentの混在が示唆された。後者は髄放線および髄質外帯外層に集積し, 近位尿細管の迂曲部および直部に沈着すると考えられた。3) 99mTC-グルコネートは99mTc-DTPAと99mTC-DMSAとの両方の性質を兼ね備えているため, 静注後早期で腎盂, 腎胚システムの描画, 後期で腎の形態的観察が可能である。