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フタル酸エステル希薄水溶液に対する60Coγ線照射の影響
宮田 定次郎新井 陸正作本 彰久鷲野 正光
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1979 年 28 巻 8 号 p. 479-484

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抄録

フタル酸ジメチルの希薄水溶液を酸素あるいは窒素飽和下において60Coγ線で照射し, その分解過程を紫外および赤外吸収スペクトルの変化, 添加物効果ならびにガスクロマトグラフ法による分解生成物の分析結果から検討した。その結果, 以下の諸事実が明らかになった, 分解は主としてOHラジカルのベンゼン環への攻撃によって開始されるが, 水和電子は分解には直接寄与しない。分解のG値は酸素飽和 (2.3) のほうが窒素飽和 (1.6) より高い。酸素飽和の状態で照射した場合, 窒素飽和で困難なペンゼン環の開裂と置換基の脱離反応が容易に起こりメタノールが生成する。フタル酸ジメチルは最終的にシュウ酸あるいはギ酸を経て二酸化炭素にまで完全に分解される。

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