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ムラサキイガイの軟体部分析による沿岸海水中の主要および微量元素濃度モニタリングにおける飼育処理の重要性について
山崎 正夫安藤 晴夫
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1998 年 47 巻 10 号 p. 751-758

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抄録

ムラサキイガイの軟体部中の微量元素濃度に及ぼす未排泄粒子状物質の影響を明らかにするため, 飼育, 未飼育試料および飼育後の排泄物について放射化分析を行い, 分析値の検討を行った。
岩石中の主要成分であるAl, Ca, Mg, Fe, K, Naなどは, 排泄物中に多く含まれていた。また, 未飼育および飼育試料の軟体部中のAl, Ca, Cr, Fe, K, Mn, Sc濃度を比較したところ, 危険率0.01で前者に多く含まれることが確認された。未飼育試料中に含まれていた未排泄粒子状物質は, 軟体部乾燥重量1g当たり20mgと推定された。さらに, 飼育処理を行ったムラサキイガイの分析値と飼育処理を伴わずに分析した既存の報告値とを比較し, 飼育処理が不可欠であることを示した。

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