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天然石英粒子からの赤色と青色熱ルミネッセンス (TL) に関連した天然蓄積捕捉電子寿命の評価
橋本 哲夫藤田 博喜安田 賢哉
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1999 年 48 巻 11 号 p. 673-682

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抄録

石英粒子からの天然蓄積赤色熱ルミネッセンス (RTL) と青色熱ルミネッセンス (BTL) 関連の捕捉電子寿命を見積った。
新潟県海岸砂から抽出した石英粒子を試料とし, 繰返し昇温法により天然蓄積に基づく捕捉電子の伝導帯までのエネルギーレベル (Ee: 活性化エネルギー) を求め, この値に高温側で見られる熱クエンチング (消光) 効果を補正した。後者については, 放射線照射中に見積られるラジオルミネッセンス (RL) の観測から熱クエンチング効果由来の補正値を評価した。
補正した活性化エネルギーは, RTLの方がBTLよりも高い値を示しており, 補正された活性化エネルギーは等温壊変法で得た値と比較した。二つの方法いずれの場合もRTLの方がBTLよりも平均捕捉寿命が長いと見積られた。このことにより, RTL石英粒子を含む天然物や焼成考古遺物の場合のみならず, 数十万年程度の古い年代測定にはRTLを用いた方が信頼性の高い値が得られると結論できた。

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