1999 年 48 巻 2 号 p. 87-99
陽電子断層撮影 (PET) で用いられている放射性同位元素の半減期はきわめて短く, 長半減期放射性同位元素の混入がなければ, 短い一定の期間経た後には放射性同位元素は消滅する。したがって, 放射線管理の簡素化が合理的に可能であると考えられる。PETに用いられる主要薬剤について長半減期放射性同位元素の混入に関する研究を行った。この結果, H215Oを除いて, 検出限界を超えて観測される長半減期放射性同位元素は混入のないことが確認された。ただし, 直接法および還元法のH215O標識化合物に14N (d, 3H) 13N核反応によると思われる極微量のトリチウムが検出されたが, その量は人体や環境への安全性の面で問題にならないと考えられる。