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安定体マンガンおよびDTPAによる体内54Mnの除去
佐藤 至松坂 尚典津田 修治
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1999 年 48 巻 6 号 p. 390-396

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抄録

54Mnは原子炉内で生成する誘導放射性核種の一つであるが, 54Mnの体外除去に関する研究はほとんど行われていない。本研究は, 54Mnに適した除去方法を見いだすことを目的とした。安定体マンガンの腹腔内投与は, マウス体内からの54Mnの排泄を著しく促進した。その除去効果は, 0.3, 1, 3および10mg-Mn/kgでそれぞれ, 56, 67, 77および82%であった。また, 腹腔内投与された安定体マンガンも速やかに排泄された。安定体マンガンを経口投与した場合にも54Mnの除去効果は認められたが, マンガンの消化管吸収率が低いため, その効果は腹腔内投与したものよりは低かった。Ca-DTPAおよびZn-DTPAは, 54Mnの投与1時間後に投与した場合には除去効果が認められたものの, 3時間以上経過した場合にはほとんど効果が認められなかった。また, Zn-DTPAの54Mn除去効果はCa-DTPAよりも低かった。以上の結果から, 安定体マンガンによる希釈法はDTPAによるキレート法よりも54Mn除去方法として有効であることが確認された。

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© 社団法人 日本アイソトープ協会
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