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強酸性湖潟沼における炭素・窒素安定同位体比によるサンユスリカ (Chironomus acerbiphilus) 幼虫の餌資源解析
土居 秀幸菊地 永祐鹿野 秀一
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2001 年 50 巻 12 号 p. 601-611

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抄録

強酸性湖潟沼において, 堆積物食者であるサンユスリカ幼虫 (Chlronomus acerbiphilus) の餌資源を炭素・窒素安定同位体比を用いて推定した。潟沼では, サンユスリカ幼虫の餌資源として考えられるものは非常に限られており, 植物プランクトンのChlamydomonas acidophila, 底生珪藻のPinnularia braunli, 硫黄酸化細菌, 湖岸から供給される陸上植物がある。サンユスリカ幼虫と浮遊懸濁粒子, Chlamydomonas acldophlla, Pinnularla braunl, ヨシ, 堆積物の炭素・窒素安定同位体比の平均値を比較すると, サンユスリカ幼虫の主な餌資源としては底生珪藻 (Pinnularia braunii) が考えられた。また季節問、生息深度問でのサンユスリカ幼虫の炭素安定同位体比変動は, 底生珪藻の現存量との関係が認められ, 底生珪藻 (Pinnularia braunii) の現存量が多くなると, サンユスリカ幼虫の炭素安定同位体比が高くなる傾向があった。

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