RADIOISOTOPES
Online ISSN : 1884-4111
Print ISSN : 0033-8303
ISSN-L : 0033-8303
東京都西部の奧多摩地域における河川水中の228Ra/226Ra放射能比
中野 (太田) 朋子佐藤 純
著者情報
ジャーナル フリー

2005 年 54 巻 11 号 p. 531-540

詳細
抄録

東京都西部の奥多摩地域に流域を持つ河川水とその地域に湧出する温泉水及びこの地域を構成する岩石 (堆積岩) の228Ra/226Ra放射能比の観測を行ったところ, 河川水中の228Ra/226Ra放射能比は1.0~2.9, 温泉水では0.7~0.8, 岩石では1.2~1.7の範囲にあった。河川水中と岩石中の228Ra/226Ra放射能比の平均値はそれぞれ2.0±0.03と1.4±0.1であり, 河川水中の228Ra/226Ra放射能比は岩石中のものより高い傾向が見られた。地下深部にあって滞留時間が長いと考えられる温泉水中の228Ra/226Ra放射能比は河川水中のものより低い傾向にあった。河川水中の228Ra/226Ra放射能比は一日の降水量が20mmを超える強い降雨の後に減少する傾向がみられた。この228Ra/226Ra放射能比の減少は, 強い降雨により深部にある滞留時間の長い地下水が河川水中へ押し出された結果ではないかと考えられた。

著者関連情報
© 社団法人 日本アイソトープ協会
前の記事 次の記事
feedback
Top