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人体ファントム線量測定に基づいた各種頭部X線検査における患者の臓器線量及び実効線量評価
川浦 稚代青山 隆彦小山 修司
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2005 年 54 巻 3 号 p. 55-66

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抄録

蛍光ガラス線量計とフォトダイオード線量計を設置した人体ファントム線量計測システムを用いて, 頭部一般撮影検査及び頭部X線CT検査における患者の臓器及び実効線量評価を行った。5種類の頭部一般撮影検査における脳線量は, 0.46~1.08mGyであった。水晶体線量は, 水晶体に直接X線が当たるような頭部正面 (AP) 及びタウン撮影法において最も高かった。また, 頭部一般撮影検査における実効線量は, 0.03~0.06mSvであった。一方, 頭部X線CT検査 (ルーチン検査) における実効線量は, 1.7mSvであり, 頭部正面 (AP) 検査よりも50倍以上高いことがわかった。急性脳梗塞の診断に用いられるPerfusion検査においては, 最大皮膚線量が712.0mGyとなった。しかしながら, その値は, ICRP Publ.59で提唱されている一時脱毛のしきい値3Gyよりも低かった。また, 頭部X線CT検査における水晶体線量 (ルーチン検査: 55.0mGy, Perfusion検査: 39.6mGy) は, ICRP Publ.60で提唱されている検知可能な水晶体白濁のしきい値0.5~2.0Gyよりも低い値を示した。

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