日本の太平洋側に位置する川崎市における大気中の212Pb濃度を2000年から2003年まで観測した。大気中の月平均濃度は, 20~50mBq/m3の範囲にあり, 冬季に高濃度になる「一山型」の季節変動を示した。2003年4月に行った4時間ごとの測定では, 夜間に地表付近で起こる逆転層により, 早朝に大気が安定化することに起因して, 濃度が高くなることが観測された。太平洋上の海洋性気団を送り込む南寄り風により, 大気中の濃度は低下する傾向が見られた。一方, 日本の内陸部からの西寄りの風により, 濃度が上昇する傾向が見られた。強い風の日にも濃度の低下が見られたが, これは地表付近の空気が擾乱を受けたことに起因している可能性があると考えられた。