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人工トロン温泉由来の放射能と負イオン (マイナスイオン) の諸特性
迫田 晃弘片岡 隆浩花元 克巳山岡 聖典
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2005 年 54 巻 9 号 p. 375-383

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抄録

人工トロン温泉由来の放射能と負イオン (マイナスイオン) の諸特性とそれらの有効性について, 実際に利用されている加工した粉末状のモナズ石で温泉状態を模擬し検討した。その結果, モナズ石含有のトリウム系列核種 (208Tl) とウラン系列核種 (214Bi) の比放射能比は5.3であった。モナズ石含有核種の水への溶出率のpH (3.5~12.5) 依存性は, 228Acと212Pbではモナズ石含有の高イオン化傾向の希土類元素のため酸性側ほど溶出率が大きくなったが, 214Biと214Pbではモナズ石含有のそれら自体が少ないため有意に検出されなかった。モナズ石由来の空気中イオン量はモナズ石近傍ほど (10cm以内) 多く, 放出されるα線の飛程にほぼ一致した。また, 空気中の相対湿度 (35~60%) が高いほど空気中イオン量も増加し, マイナスイオンがO-2 (H2O) nなどの水和型で安定・存在することと一致した。更に, α線が水を電離する量はモナズ石の表面近辺で多いため, 上澄み液を除去した方が上澄み液のある状態より近傍空気中のイオン量が多かった。

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