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生体模型物質の60Coによる汚染機構 (第1報) 脂肪類および炭水化物の汚染
佐々木 恒孝村松 三男
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1958 年 7 巻 1 号 p. 36-41

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抄録

固体面の放射能汚染が主として物理的および化学的吸着にもとつく場合を研究する目的で, 種々の薄膜を60Coを含むCoCl2溶液に浸し, そのCo付着量を測定した。汚染液のpHと浸漬時間を変えてしらべた結果, つぎのことが知られた。
1.汚染量はステアリン酸の場合がもっとも大きく, セチルアルコール, ヘキサデシルアミン, セロフアンが中程度で, パラフィン, ポリエチレンがもっとも少ない。
2.これらの区別はそれぞれイオン性化合物, 双極子化合物, および無極性化合物の区別と一致し, 薄膜とCoイオンとの間にはたらく力の種類によってこのような汚染量の差があらわれたことが推定せられる。
3.シリコーンゴムの場合は大体の傾向としてステアリン酸と同じである。これは添加剤 (SiO2, TiO2その他) の影響と思われる。
4.汚染液pHの影響は膜によってことなる。イオン性ないし双極子化合物の膜ではアルカリ側の方がCoの付着は大きい。これはpH増大の結果としてCoイオンの分散状態が変化し, 液中に生じたCoの微凝塊が膜に作用するためである。

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