2024 年 28 巻 1 号 p. 84-91
鋼橋で生じる支承あおりは,多大な労力をかけて目視点検されている.定期的に軌道検測車で計測される軌道変位により検知できれば検査を大幅に省力化できるが,列車通過時の支承あおり挙動とその軌道変位への影響は十分に解明されていない.本研究では,軌道変位による支承あおり検知の基礎的検討として,数値解析による支承あおり挙動の分析と軌道変位への影響について検討した.構造物変形時の動的軌道変位を算出可能な既存計算ツールに支承あおりを表す非線形ばねを導入したうえで,支間長12.3mの鋼橋を対象に解析を行った.その結果,浮き量に依らず橋りょう乗り移り時に急増するあおり箇所の変位が半波長 5m 程度の局所的な変動として軌道変位に現れることを明らかにした.