洛北史学
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論説
近世の国継浦触と海事
九州の場合
水本 邦彦
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2002 年 4 巻 p. 1-20

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抄録
近世、海辺の村々には浦触と呼ばれる通達が頻繁に到来していた。中心をなすのは、幕府勘定奉行所を始めとする幕府諸機関により発せられた公儀浦触で、内容は海辺に関わる様々な指示がテ—マとなっていた。幕府の「鎖国」政策にも幻惑されてか、近世史研究における海辺への関心は相対的に低い。しかし、舟運が物流の基幹手段であったこの時代、海事は国家・社会の中心課題であり、公儀浦触通達にも全国的なネットワ—クが形成されていた。ただ、これらの触れは、その殆どが海辺の庄屋が書き留めた触れ留帳のなかにしかその痕跡を留めず、したがって、浦触研究は、そうした留帳を丹念にめくっていくことによってしか進まない。本稿は九州地域の庄屋・大庄屋文書の二・三を題材として、近世後期、この地域に到来した公儀浦触などさまざまな海事関係触れの内容や廻達の様子を整理したものである。
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© 2002 洛北史学会
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