抄録
技術経営において、開発プロジェクトを成功に導くことは重要な課題である。開発プロジェクトの規模が大きくなり、経営的にインパクトを与える場合、トップマネジメントが関与してくる。加えて、プロジェクトの成功要因のひとつにトップマネジメントの関与が指摘されている。本論文では、ソニー・コンピュータエンタテインメントと東芝、IBMで共同開発したプロセッサCell Broadband Engine^<TM>のプロジェクトをケーススタディとして、トップマネジメントがプロジェクトにどのように影響を与えるかについて述べる。本研究により、トップマネジメントによって掲げられた、技術に基づくビジョンがプロジェクトに大きな影響を及ぼしたことがわかった。また、プロジェクトの実行リーダーによるミドル・アップダウン・マネジメントがみられたが、同時にトップマネジメントによる強いトップダウン・マネジメントも存在していた。これを「牽引型トップマネジメント」と名付けた。さらに、プロジェクトの現場でコミュニケーションが重要な要因となっていた。