京都大学における産官学連携活動について、企業との共同研究の観点からここ数年の傾向を評価した。共同研究件数、受入れ予算額ともに増加傾向を示しており、創薬などライフサイエンス分野における大型予算を伴う案件の増加が主な要因であった。また、イノベーションの担い手として期待される中小企業との共同研究についても、大企業に対する割合は着実に増加しており、特に再生医療関係のバイオベンチャーの寄与が高まっていた。一方、他分野の傾向として、自社の将来を託す社会的価値の創造において大学への期待が高まっており、個別の研究領域では網羅できない、人文社会系を含む広範な分野横断的視点と、当該企業や業界の産業戦略的視点とを有する新たな産官学連携体制を構築しイノベーション創出に向けた貢献を行っている。