甲殻類の研究
Online ISSN : 2433-0108
ISSN-L : 0287-3478
房総半島沖より得られたマメヘイケガニ科の1新種
武田 正倫
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1981 年 11 巻 p. 36-40

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抄録
マメヘイケガニ科に属すツノダシマメヘイケガニ属はいずれも小形種で,多くは深海産であって個体数も少ない。眼柄が固定されているのが特徴的で,眼そのものも機能を果たしていない。眼柄と額角の相対的な長さから2つのグループ,すなわち,眼柄の方が長いquadratus群と額角の方が長いgranulatus群に分けられる。これが自然分類にかなっているかどうかは別として,何よりも便利である。ほとんどは各群の中の亜種として扱われてきたが,それは単に古い命名法を継承しているにすぎない。いずれも独立種と考えることが可能で,そうすると既知種はインド西太平洋海域から8種,西大西洋から4種,東大西洋から2種ということになる。日本からはツノダシマメヘイケガニC.japonicus BLASS, 1922,イソドツノダシマメヘイケガニC.andamanicus ALCOCK,1905,ツノナシマメヘイケガニC.curvirostris SAKAI,1965が知られている。ここに記載した新種は房総半島野島崎沖から得られた雌1個体にもとづいている。すべての歩脚が失なわれているが,額角と眼柄の形態によって他種から容易に区別される。眼柄がほとんどまっすぐに固定され,また額角が細くて眼柄の半分ほどに達することが著しい特徴である。和名はウミタカツノダシマメヘイケガニを提唱する。
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© 1981 日本甲殻類学会
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