2022 年 6 巻 論文ID: 2022-004
近年,薬剤師の役割が『対物業務から対人業務へ』と移行するにおいて,薬剤師には患者状態を把握するための能力,“ヒトを診る力” が必要となる.本稿では,京都薬科大学での “ヒトを診る力” を兼ね備えた薬剤師教育の取り組みの概要と今後の薬剤師に求められるフィジカルアセスメントに関する私見を述べる.本学では,学部教育として2年次の「解剖学・生理学実習」で正常な生理学的状態を理解するためのフィジカルアセスメント教育を,4年次の「実務事前実習」では患者の病状把握とその薬物療法について理解するためのフィジカルアセスメント教育を行っている.さらに,旧4年制薬学教育を受けた薬剤師に対しては生涯教育として「フィジカルアセスメント講座」を開講しフィジカルアセスメント教育を行っている.最後に,フィジカルアセスメント教育に携わる者として大切なことは,薬剤師のフィジカルアセスメントの目的を常に見失わないことであると考える.