甲殻類の研究
Online ISSN : 2433-0108
ISSN-L : 0287-3478
イソクズガニTiarinia cornigera(LATEREILLE)の成長と繁殖
土田 真二渡邊 精一
著者情報
ジャーナル フリー

1991 年 20 巻 p. 43-55

詳細
抄録
千葉県館山市にある,東京水産大学,坂田実験所において,イソクズガニTiarinia cornigeraの成長,および繁殖について調査し,その生活史の概略を推定した。本種の産卵盛期は6〜9月で,卵は20日前後でふ化する。ふ化した幼生は7〜10日で変態し,稚ガニとなる。稚ガニは秋に急速に成長し,冬期に成長は鈍くなるが,翌年の春から再び急速に成長する。6,7月に最終脱皮と思われる成熟脱皮がおこなわれ,雄では鉗脚と第1歩脚が,雌では腹節幅が大きくなる。その後まもなく,交尾,産卵を行い,雌は繁殖期に4〜6回産卵する。本種の寿命は約1年で,繁殖を終えた個体の多くは死滅すると思われる。
著者関連情報
© 1991 日本甲殻類学会
前の記事 次の記事
feedback
Top