抄録
近年の、社会を揺るがす重大な産業事故や不祥事の再発防止に不可欠な原因究明は、工学の側面と同時に人間的営為の面をも指摘するようになっては来たが、それらを単に列記するだけで原因群全体の構造や根底まで究明することは行われていない。差し当たり工学面での再発防止は可能だが、人間の営為に関わる欠陥の撲滅や、当事者人間自体の根本的反省がなければ、重大事故は絶滅できない。本稿は工学面に加え人間的営為に関する諸原因を統合して「一般的原因構造モデル」を提示する。元よりこれは仮説であるが、敢えて提出して重大事故の根本的絶滅に資そうとする。特に安全法規の欠陥除去と品質保障態勢の在り方は、その気になりさえすれば直ぐにでも着手できることである。