半導体デバイスに重イオンなどの放射線が照射されると,回路内に過渡電流が発生し,回路誤動作が引き起こされる(ソフトエラー).SOIデバイスはソフトエラー耐性に優れた構造であるものの,予想を超えた電流発生が確認されており,照射誘起過渡電流の更なる低減が望まれている.本研究ではSOIデバイスのソフトエラー耐性強化を目的に,SOI-pnダイオードの重イオン照射誘起電流および収集電荷量の抑制について検討を行った.その結果,異常電荷収集は埋め込み酸化膜を介した変位電流に起因すること,更に支持基板表面の空乏層幅の制御により,BOXを介した変位電流が抑制でき,ソフトエラー耐性向上が可能となることを実験的に明らかにした.